New Newberrysound Vocal Clinic
Vol.7 「ブレスをしないブレス方法 2」
前回「ブレスをしないブレス方法?」を説明しましたが
どうしたら可能になるか?を説明したいと思います。
「ブレスをしないブレス方法」を可能にするには下記2つの条件が必要になると思います。
1 体が喉が開くタイミングを覚えている。
普段皆さんが日常会話をしている時は、何も考えなくても、喉が開いて呼吸しています。
生まれ持った本能的で完璧なシステムです。
ただし歌う時になると意識してしまい、普段日常会話をしている時の様に自然なブレスができず
フレーズごとに「ハァ」とブレスをしてしまう事が多いです。
下記クリニック「普通のカウントと裏クリックでのカウント」で
「裏クリックでのカウント」で体に喉がタイミングを覚えさせる
練習を説明していますので参考にしてください。
http://blog.livedoor.jp/newberrysound/archives/50805250.html
2 声をしっかり出している。
「しっかり」という表現は相当曖昧な表現なので、具体的に言うと
「喉が開いて」しっかり声が出ている。という事になります。
「喉が開く」のは「声を出す」ためではなく、実は「息を吸う」ためでもあります。
分かりやすく言えば「換気」と同じです。
部屋の換気を考えてみましょう。
一番簡単に効率良く換気するには...
2カ所窓がある部屋なら、2カ所の窓を開け扇風機で片方の窓から外に向けて
部屋の空気を出す様にするともう一方の窓から外の空気が入って来ると思います。
体も同じです。
外に空気を出せば、外から中に空気が「同時」に入ります。
そう、歌のフレーズの最初から喉を開けて声を出せば、
「同時」に空気が入って来ます。
具体的に言えば、口から声を出すと同時に鼻から空気が入って来ます。
人間は皮膚呼吸以外、喉からしか空気は出入りしません。
「喉」が「窓」なのです。
そこが開いていないと出るものは出ないですし、入るものも入って来ない訳です。
この場合、出るものは「声」で、入るものは「空気」です。
皮肉な事に「ハァ」とブレスをする時に限って、
ブレスの時間を確保するためにフレーズが短くなるので歌のニュアンスの質を下げてしまい、
またそのフレーズの後にする「ハァ」というブレスの間も喉は緊張した状態になってしまっている危険性があります。
普段の日常会話ではわざわざ「ハァ」とブレスをしていないはずなのに
真面目に歌おうとすると、「ハァ」とブレスをしてしまう...
不思議な事ですが多くの方がそうしてしまいます。
「話す様に簡単に歌う事が出来たら、どんなに楽で楽しいか?」
...私は基本的には歌うためには何も特別で特殊な方法論や価値観はないと思っています。
喜怒哀楽の感情を伝える...会話も歌も同じだと思います。
そして日常で我々が行っている日常での行動やシステムが一番「理にかなっている」と信じています。
「いかに歌は楽しいか、そして簡単か?」
難しそうなブレスに関しても、日常のシステムを取り入れて
話す様に楽しく歌える様になって頂きたいと思います。
次号以降で具体的な練習法を説明していきます。
ニューベリーサウンド
チーフボイストレーナー
小泉誠司
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