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Newberrysound Vocal Clinic

Vol.19 息で歌いましょう



「息で歌う。」

...あまり聞き慣れない言葉でイメージできない方が多いと思います。

喉に負担のかからない発声は歌を歌うだけでなく会話をする上でも

非常に重要で皆さん、そうありたいと思われているはずです。

今回はそのために必要な練習法をご説明したいと思います。


ここで実験をしてみます。

まず「ハー」と息をはいてください。

イメージとしては走った後、息が乱れますよね。「ハー、ハー」と。

その時、あなたの喉はどんな感じですか?

喉が乾き喉に負担がかかっている感じがしませんか?


次に「フー」と息をはいてください。

ちょうどバースデイケーキのろうそくを消すようなイメージです。

その時、あなたの喉はどんな感じですか?

先ほどの「ハー」の時と比べてみてください。


「フー」の方が「ハー」よりも喉が乾きにくく

喉への負担が少ない印象を持たれたはずです。


「ハー」という息をはく時、その時は先ほど走った後の息が乱れるシチュエイション

に代表されるように、疲れている時...つまりお腹に力がない時が多いです。


それに比べて「フー」という息をはく時は

バースデイケーキのろうそくを消すように

お腹にしっかり力を入れて息をはいている事が多いはずです。


あなたが歌を歌っていて喉が痛くなる時は

「ハー」という息をはいているのと同じ呼吸法で声を出していると考えて下さい。

「ハー」という息をはくだけで喉が乾いたり負担がかかっている感覚が

あるのですから、その上に声がのっかると息だけの時以上に喉に

負担がかかっているのです。


なるほど!「ハー」より「フー」の方が喉に負担がかかりにくいのか。

と理解して頂いた上で、

どうしたら「ハー」にならず「フー」になりやすいか?

説明しましょう。


バースデイケーキのろうそくを消す時のように

やはりお腹にある程度力がなければいけません。

ですが、その力は無理やりの力ではだめです。

よく腹式呼吸というとすぐに腹筋を鍛えなければ、と考える方がいらっしゃいますが

ここでは腹筋を鍛える前にまずはお腹に大きな風船を作るイメージを

持って頂きたいと思います。

ではどうやったらお腹に大きな風船を作る事ができるでしょうか?


Newberrysound Vocal Clinic Vol.17「腹式呼吸?胸式呼吸?」でも説明しました

お腹に簡単に息が入る方法を思い出して下さい。

http://www.newberrysound.com/newberrysound/C17.html

念のために下記に抜粋します。



まず椅子に背筋をまっすぐにして座ってください。

次に上半身を45°位に傾けてください。

この状態で息を吸うと「胸」にではなく「腹」に入りやすいです。

この状態において

胸に息を入れていく「胸式呼吸」をやろうとしても

お腹が膨らむ...「腹式呼吸」になっているはずです。


椅子に座って上半身を45°位に傾けた状態で

息を出来るだけ(限界まで)お腹に入るように吸い

「上の前歯に当てるように」「フー」と息をはいてください。

これを最低5回は繰り返して下さい。


次にあなたが今取り組んでいる曲の歌詞を用意してください。

この練習に適した曲フレーズとしては例えば鬼束ちひろさんの「月光」

特に曲頭のサビが挙げられます。

出来れば「月光」曲頭のサビのフレーズを用意して下さい。


このフレーズを次の注意点を守って「息」で歌ってください。

1.オリジナルを良く聞き、本人が行っているブレスの位置を厳守する。
 (息苦しくなっても絶対に他の位置ではブレスをしない。)

2.やはりオリジナルを良く聞き、その抑揚ニュアンス(出来ればビブラートも)
 を出来るだけコピー、再現できるようにする。
 間違ってもフレーズが細切れにならないようにする。

3.出来るだけ全ての息を「上の前歯に当てるように大きく」はいてください。
 ...自分の息がしっかり聞こえるようにする。

4.水をひんぱんに飲む。(自覚症状がなくとも喉は乾いています。)


上記の注意点を守って正しくこの練習をしたら

とても苦しくなるはずです。

とても苦しくなるはずですが何とか頑張ってください。

ここで足りない分は声で歌った時、喉に負担がかかりますので

出来るだけこの時点で自分の歌のイメージをしっかり作って下さい。



ですが、ここで余りにも任意の箇所でのブレスまで息が持たない場合

あなたのお腹の風船は十分な大きさを持っていないという事になりますので

もう一度上記の

「椅子に座って上半身を45°位に傾けた状態で

息を出来るだけお腹に入るように吸う」練習に戻って風船を作り直して下さい。



なんとか息で「月光」曲頭のサビのフレーズが上記1~3の注意点を守って

出来るようになったら....

今度は声を出してこのフレーズを歌ってみましょう。

どうですか?

とても楽にまた抑揚ニュアンスがとても付けやすくなっているはずです。

もしまだ効果が感じられなかったら、風船をつくる練習、息で歌う練習を

納得できる時点まで繰り返して下さい。


この練習のバリエーションとしては上記の息の練習の後、声で歌う前に

「ファルセット(裏声)でフレーズを歌う練習をする。」が考えられます。

一度試して下さい。


歌を歌うのは地声でやるというのが当たり前になっていると思いますが

その分、お腹をあまり使わず喉を使う歌い方をしている危険性があります。

(お腹を使わなくても地声はとりあえずは出ますから)

ですが「息で歌う」場合、音量、ニュアンスを作るためには

喉はあまり役に立ちません。


必要なのは...

*大きな風船...(上半身を45°位に傾けた状態で息を吸う練習)

*その風船を思いどおりにコントロールする力...(ニュアンス、ビブラート)

*喉に負担をかけない息のはきかた...(「ハー」より「フー」)


地声に頼らず息で上記の条件を満たす事が出来た時

あなたは喉に負担が少なく、また歌の表情ニュアンスも格段にアップした

発声法、歌唱法に一歩近付いているはずです。

今回の練習は相当にハードなものですが確実に効果があるので頑張って下さい。



(C)2001 SAGE KOIZUMI / Newberrysound
http://www.newberrysound.com
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